社会福祉法人 全国社会福祉協議会・全国母子生活支援施設協議会
母子生活支援施設について
トップページ > 母子生活支援施設とは > 母子生活支援施設の歴史

母子生活支援施設の歴史

「母子生活支援施設」は、1998(平成10)年に「母子寮」から名称が変更されました。当時の「母子寮」の歴史と、現在の「母子生活支援施設」に至るまでの歴史・現在の役割をご紹介します。

母子寮(母子生活支援施設)の源流

「母子寮」は、大正期からその萌芽を見ることができますが、法律上に位置づけられたのは、世界大恐慌(1929(昭和4)年)後の社会不安の中、1932(昭和7)年に施行された「救護法」によるものです。

<救護法>
第十二条 幼者居宅救護ヲ受クベキ場合ニ於テ市町村長ノ哺育上必要アリト認ムルトキハ勅令ノ定ムル所ニ依リ幼者ト併セ其ノ母ノ救護ヲ為スコトヲ得

その後母子寮は、1938(昭和13)年、厚生省の設置と同年に施行された「母子保護法」により規定され、その数が増加してきました。

第二次世界大戦後の母子寮 〜着の身着のままの母子を支援〜

第二次世界大戦後、混乱する社会の中で、着の身着のままで荒廃の中をさまよう母子の保護が、社会的に大きな課題となりました。

1949(昭和24)年の国会では、「授産場、母子寮、保育所を増設すること」とする決議がなされ、1947(昭和22)年に212か所だった母子寮は、昭和30年代には650か所となりました。

当時は戦争で住宅を失ったり、夫の戦災死による死別母子家庭が圧倒的に多い状況の中、「屋根、寝る場所と住む場所を」と、戦争によって夫を失い、家を失い、家族を失った、切実な課題を抱えた母子に対して支援を行ってきました。母子寮は、戦後の母子家庭対策として大きな役割を担ってきたのです。

子ども会のようす(昭和30年代) 行事でのスナップ(昭和40年代)

機能と役割の変化 〜高度経済成長以降の利用者の方々の変化〜

高度経済成長の時代に入ると、母子家庭にも変化が生じてきます。母子家庭になった理由も「死別母子家庭」から、離婚などを理由とする「生別母子家庭」が増加しました。それにあわせて母子寮を利用される母子家庭も、住居課題から、複雑で多様な生活課題を理由とする方々の利用が増加します。

核家族化の進展の中で、「夫の失業」「サラ金対策支援」と、母子家庭をめぐる経済・就労課題が生じてきます。また現在では心理的課題、ドメスティック・バイオレンス(DV)被害や児童虐待、外国人の母子の問題など、多様な背景が重なってきています。今日の母子生活支援施設には、これらの被害を受けている方々の避難先の役割を担う機能も求められてきています。

学童保育室の風景(昭和30年代) 居室での風景(昭和40年代)

母子の自立を応援 〜「母子寮」から「母子生活支援施設」へ〜

このような利用者の方々の変化をふまえ、社会福祉基礎構造改革の流れの中で1998(平成10)年に改正された児童福祉法では、児童福祉全般の見直しの中で、「母子寮」の名称を「母子生活支援施設」に改称することとなりました。

つまりすべての母子生活支援施設が、母子の「保護」から、「保護するとともに、生活を支援する」という役割の変化を担うこととなったのです。

また、2004(平成16)年の児童福祉法改正により、母子生活支援施設は「退所した者について相談及びその他の援助を行うことを目的とする」として、利用者の方々の退所後の支援を行うことが位置づけられました。

関連分野の法・施策とも連携して、母子家庭の自立支援を推進

母子生活支援施設は、児童福祉法において定められた児童福祉施設ですが、今日の母子家庭をめぐる状況のもと、母子家庭の保護から自立支援に向けた援助・支援を図るために、関係する法・施策分野も含めた総合的な取り組みが必要とされています。

■「母子及び寡婦福祉法」

「母子及び寡婦福祉法」では、1997(平成9)年の法改正により、「雇用の促進のために、母子相談員(2003(平成15)年の母子及び寡婦福祉法の改正により、母子自立支援員に名称変更)その他母子家庭の福祉に関する機関並びに児童家庭支援センター、母子生活支援施設及び母子福祉団体並びに公共職業安定所は、就職を希望する母子家庭の母及び児童の雇用の促進を図るために、相互に協力しなければならない」と定められ、母子家庭の就労支援について、地域で生活する母子家庭に対しても、相談・支援機能を求められることとなるなど、母子生活支援施設に求められる役割が一層大きくなりました。

■「母子家庭等自立支援対策大綱」

2002(平成14)年に厚生労働省から出された「母子家庭等自立支援対策大綱」では、「母子生活支援施設や住宅など自立に向けた生活の場の整備」が掲げられ、母子生活支援施設は、地域で生活する母子への子育て相談・支援や、保育機能の強化、サテライト型などの機能強化、無料職業紹介事業の実施などがあげられ、母子生活支援施設への社会的な期待が高まっています。

■「改正DV法(夫からの暴力及び被害者の保護に関する法律)」

ドメスティック・バイオレンス(DV)被害者保護では、2004(平成16)年に改正された「改正DV法(※)」において、一時保護施設として母子生活支援施設が位置づけられました。母子生活支援施設がDV被害者保護から生活の基盤づくりを行い、自立支援を行う施設であることが法律上も明記されました。

※「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律

<DV法に基づく一時保護の委託契約施設数(平成18年4月現在)>
母子生活
支援施設
民間団体 婦人保護施設 児童養護施設・乳児院 他施設 合計
83 81 18 23 24 229
出典:平成18年度全国児童相談所会議

母子生活支援施設の機能 〜全国母子生活支援施設協議会特別委員会報告書から〜

現在、母子生活支援施設に求められる機能・役割について、全国母子生活支援施設協議会では、2005(平成17)年にまとめた報告書の中で、次のとおり整理しています。

<母子生活支援施設の機能について>
施設で生活する母子家庭等 地域全体(ひとり親家庭)
◆生活と権利擁護の拠点
(1)癒しを得ることができる生活環境
(2)相談
日常的ストレスへの対応
生活相談(諸サービスの利用、自立に向けての準備)
(3)生活支援と生活に関するスキルの向上支援
・生活スキルの習得  
・制度活用のサポート(アドボケート)
(4)子育て支援と子どもへの支援
養育技術の習得/しつけ/生活習慣/保育/学習指導/遊びの指導/進路相談/被虐待児支援(心理的サポートを含む)/障害児への支援
(5)健康維持のための支援
治療のサポート/服薬のサポート
(6)就労支援
(7)危機対応
(8)アフターケア

(1)地域支援・子育て支援

学童保育/ショートステイ/トワイライトステイ/保育機能強化等
(2)危機対応
ひとり親/単身/被害者支援
(3)相談機能(電話相談含む)
出典:「母と子の権利擁護と生活の拠点をめざして〜全国母子生活支援施設協議会 特別委員会報告書〜」